暑い日の「大丈夫です」は、本当に大丈夫でしょうか?
夏の建設現場や製造現場では、熱中症への注意が欠かせません。
特に外国人材の場合、日本語で体調の変化をうまく説明できなかったり、周囲に迷惑をかけたくないという気持ちから、無理をして作業を続けたりすることがあります。
受入企業の皆さまには、本人からの申告を待つだけでなく、職場全体で異変を早期に発見できる仕組みを整えていただくことが重要です。
■熱中症対策は事業者の義務です
2025年6月1日に施行された改正労働安全衛生規則第612条の2では、一定の暑熱環境で行われる作業について、事業者に次の対応が義務付けられています。
・熱中症の自覚症状がある場合の報告体制を整備すること
・熱中症のおそれがある人を発見した場合の報告体制を整備すること
・作業からの離脱、身体の冷却、医療機関の受診などの対応手順を作成すること
・報告先や対応手順を関係する作業者に周知すること
対象となるのは、原則としてWBGT値28度以上または気温31度以上の環境で、連続1時間以上または1日4時間を超えて行うことが見込まれる作業です。
ただし、この基準に達していない場合でも、体調不良者が出たときには、直ちに適切な対応を行う必要があります。
■外国人材への説明は「伝えた」ではなく「伝わったか」
日本人従業員と同じ内容を日本語だけで説明しても、十分に伝わっているとは限りません。
「体調が悪くなったら言ってください」と伝えるだけではなく、具体的な症状を分かりやすく説明しましょう。
例えば、次のような症状です。
・頭が痛い
・気持ちが悪い
・めまいがする
・足や手がつる
・いつもより汗が多い
・急に汗が出なくなった
・返事がおかしい
・まっすぐ歩けない
写真やイラスト、翻訳資料などを使い、「この症状があったら、すぐに仕事を止めて報告する」と繰り返し伝えることが大切です。
「分かりましたか」と聞くだけではなく、本人に対応方法を説明してもらい、正しく理解できているか確認しましょう。
■受入企業で確認したい5つのポイント
1.報告先を明確にする
体調が悪くなったときに、誰へ報告するのかを決めます。
現場責任者、班長、技能実習指導員など、担当者の名前と連絡方法を明確にしてください。
2.一人で作業させない
暑熱環境では、できるだけ複数人で作業し、お互いの顔色や受け答えを確認することが有効です。
本人が異変に気づいていない場合でも、周囲が先に異常を発見できることがあります。
3.休憩と水分補給を本人任せにしない
「喉が渇いたら飲む」のでは遅い場合があります。
一定時間ごとに休憩時間を設定し、水分と塩分を補給できる環境を整えましょう。
4.緊急時の対応手順を掲示する
体調不良者が出た場合の対応を、現場の見やすい場所に掲示します。
作業中止、涼しい場所への移動、身体の冷却、責任者への連絡、医療機関への搬送など、順番を決めておくことが大切です。
5.多言語で繰り返し説明する
母国語の資料や、やさしい日本語、写真、動画などを組み合わせて説明しましょう。
一度説明して終わりではなく、朝礼や定期面談の際にも繰り返し確認してください。
■「大丈夫です」という返事だけで判断しない
外国人材の中には、体調が悪くても「大丈夫です」と答えてしまう人がいます。
その背景には、日本語で症状を説明する難しさだけでなく、仕事を休むことへの不安や、会社に迷惑をかけたくないという気持ちがあるかもしれません。
そのため、受入企業側から具体的に確認することが重要です。
「頭は痛くありませんか」
「気持ち悪くありませんか」
「昨日はよく眠れましたか」
「朝ごはんを食べましたか」
「水分は何回取りましたか」
このように具体的に聞くことで、小さな体調変化を発見しやすくなります。
■命を守るのは、声を上げやすい職場です
熱中症対策で最も大切なのは、高価な設備だけではありません。
「体調が悪い」と安心して言える雰囲気をつくることです。
体調不良を申し出た人を責めたり、我慢が足りないと評価したりすれば、次から報告しなくなる可能性があります。
少しでも異変を感じたら作業を止められること。
周囲の人が遠慮なく声をかけられること。
会社が報告を歓迎していること。
こうした職場づくりが、重大な事故を防ぎます。
■LiC協同組合が受入れをサポートします
LiC協同組合では、技能実習生や特定技能外国人を受け入れている企業の皆さまと連携し、外国人材が安全に、安心して働ける環境づくりを支援しています。
外国人材への説明方法、生活指導、定期面談、職場でのコミュニケーションなど、お困りのことがございましたらお気軽にご相談ください。
外国人材を大切にすることは、単なる事故防止ではありません。
働く人と企業が信頼関係を築き、長く安心して働ける職場をつくることにつながります。
この夏も、一人ひとりの表情と体調を確認し、全員が元気に仕事を終えられる職場を一緒につくっていきましょう。
技能実習生・特定技能外国人の受入れ、職場での安全指導や生活支援についてのご相談は、LiC協同組合までお問い合わせください。